今日はある一軒の宿の情報・・・・
スリランカでホエールウォッチングをする為にメリッサっていう街に行ってたんだけど・・・
問題なのはそこの街で宿泊した宿
宿の名前は
「Melissa Holiday Bangalow(メリッサホリディバンガロー)」
普通に宿の予約サイト「Booking.com」で予約
前評判はすごく良くて宿泊客の殆どがこのゲストハウスを褒め称えてた
なんの警戒もせずに予約を完了して現地に向かった
まず初めにおかしかったのが・・・
地図に名前は記載されてるのに宿が見つからない
辺りの地元民に聞いて回るも不思議な事に地図のゲストハウスの場所を離れると皆が「このゲストハウスは確かにこの辺にある」と言うのだが地図のゲストハウスの場所に近ずくとそんな宿は聞いた事がないと言う
1時間半ほどは探し回っただろうか?
いよいよ腹も立ってきて荷物をアグに預けてもう一度徹底的に宿を探す為に一人歩き出した
猛暑の為、喉がカラっ空になる
最初は「他の宿の人に聞くのは同業他社に対して失礼だ」なんて思って避けていたのだが暑くて喉も痛く、イライラしてくる
途中からオレは片っ端から知らない宿に入っていき道を尋ねまくった
そして全ての情報を結集すると若干のズレはあるようだがやはり地図の場所の近くのようだ
オレは地図の場所に戻ってみるとした
途中トゥクトゥクの運転手が「ヘイ、マイフレンド!ドゥ〜ユ〜ニ〜ドトゥクトゥク?(乗ってかないか?)」と声をかけてくる
オレ
「うっさい、死ね。消えろカス!」
これまでにスリランカの男共にボッタクられてたのと暑さから来るイライラでオレの我慢も限界近くに来ていた
トゥクトゥクの運ちゃんも地元のオバちゃんも無視して情報通りの場所に戻ってみると・・・
日に焼けすぎて殆ど字が見えなくなった看板にウッスラと「Melissa Holiday Bngalow」と書いてある古くクタびれた洋館があった・・・
「・・・・ダボか!こんなんうっすい看板、読める奴おらんわ!視力が両目共2・0の俺が目を凝らさな見えんってどんな看板やねん!」
急いでアグを呼びに戻り荷物と共に宿に向かう
看板の事で文句の一つでも言ってやろうかと思いながら勢い良く宿に入っていった
すると薄暗い部屋の中に電気も点けずにいたのはデブで腹だけシャツから出たオッサンと、箒を持ったまま立ち尽くしているデブで目が虚ろなオバはんと、上半身裸で目がギョロギョロしていてニコリともしないデブの男の子とヤケに愛想が良い女の子の四人・・・
どこと無く奇妙な家族経営だ
5秒程の不思議な沈黙の後、女の子がゆっくりと口を開いた
「まずは・・・ソファーに座って下さい」
っとソファーに座らされる。
そして再び訪れる沈黙
・・・・・。
イヤ✖️2、怖すぎるやろ!
分かる人は少ないかもしれないけどゲームの「バイオハザード7を思い出した」
沈黙に耐えられなくなった俺は尋ねた
「俺たちの部屋に通して貰えますか?」と・・・
(雰囲気が怖すぎて看板の事で文句を言う事など俺の頭から消え失せていた)
女の子が笑顔で話し出す(目は笑ってない)
「貴方達の部屋は今から掃除をするから15時まで入る事は出来ないの」と・・・
(英語が話せるのは彼女だけらしい)
ネットに記載されていたチェックイン時間からは2時間も過ぎている
普段の俺ならばソッコーでクレームだが怖すぎてここでもスルー
親父はスリランカ語でまくし立てるように娘に何かを叫んでいる
さっきまで箒を持ったまま立ち尽くしていた母親はいつの間にか正面の椅子に腰をかけ箒は持ったまま虚ろな目でこちらをジーッと見つめている・・・
俺
「オーケー、じゃあ荷物だけ置かせてもらって俺たちは喫茶店でも行って時間を潰してるよ。15時に戻ってきたら良いんだね?」
娘
「そう・・・」
俺たちは一旦宿を出て街の方へ歩き出した
「こっわ!なんか異常じゃね?」
疲れている事もあってアグも口数が少ない
アグ
「あの宿に3泊か・・・」
そう、ネットでの宿の評判が良すぎて何の警戒もせずにオレ達は3泊も予約してしまっていたのだ
気を紛らわせる為に俺たちはビーチに出た
ビーチはヒッカドゥワほど波は静かでは無かったが広くて開放的なビーチで海水浴を楽しむ子供連れの欧米人達が泳ぐ姿が俺たちの気持ちを幾分かは楽にさせた
「まぁ、あんだけ評判が良いって事はきっと良い家族なんだよ。なんか今までの宿と違ってアットホーム過ぎる感はあるけど、そんなスタイルだからこそ変な違和感を感じただけだよ、きっと・・・」
と気持ちを入れ替え宿に戻る事に
すでに俺たちの機嫌も良くなり「晩飯に何を食べようか」なんて話しながら薄暗い路地へと戻って行った
が、しかし宿に着いた俺たちを待っていたのは信じられない光景だった・・・
宿に着くと誰かの奇声と泣き叫ぶ声、高笑いする男の子の笑い声が聞こえてきた・・・
「何々?絶対ただ事じゃないやん、マジかよ・・・」
恐る恐る中に入るとデカイ花瓶が割れフロアは水浸しに・・・
昼間箒を持ったまま虚ろな目をしてフラフラしていた母親は泣き崩れ、デブでギョロ目の男の子が母親の前に立ち尽くし「アヒャヒャヒャヒャ〜」と高笑いをしている。二回からは笑っているような泣いているような娘の奇声も聞こえてくる
一体何事なんだ!?俺たちは部屋に戻れず庭に引き返した
アグは疲れと怯えと怒りから到底説明出来ない顔になっている・・・
中からは相変わらず3人の奇声が飛び交っていて俺たちは自分達の状態を見失う
「俺ら、客だよな?」
中の奇声はますます酷くなっていきいよいよ薄暗い中から木の棒やら何やらが飛び出して来る始末
すると男の子が爆笑しながら飛び出して来た
ビックリしている俺の姿を見つけると男の子は
走り寄ってきて
「僕のお母さんは頭がおかしいんだ!ククク、ア〜ッヒャッヒャ〜」
俺たちは度肝を抜かれすぎてどうする事も出来ない
何も出来ないまま庭にいるとちょうど良い所に父親が帰ってきた
すると男の子は高笑いを辞めた
「お、親父が母親の意見を聞いて子供を叱りつけるんだな」
っと一安心した俺たち
父親が中に入って行き母親と話を始めた
しばらくすると父親と娘がフラフラと無表情で出て来て俺たちには何も言わずにバイクで夜の闇に消えて行ってしまった
息子も何やらブツブツと半笑いしながら自転車に乗ってどこかに行ってしまった
アグ
「イヤイヤ、様子がおかしい母親とお客だけ残してどこ行くのよ?コレでも宿なん?」
アグの怒りと恐れも限界に達していた
既に宿に対する不満はたっぷりだったが疲れていた俺たちはその日は部屋に戻り休む事にした
部屋は薄暗く汚く、野犬が一晩中鳴いていて殆どアグは眠れなかったらしい
次の日の朝、何事も無かったかのように父親が話しかけて来た
何を言ってるのかはよく分からなかったがボロボロのホエールウォッチングの看板を持って来てたから
「あ〜、ホエールウォッチングの予約を宿からしないか?って勧めてるんだな」と思い値段を尋ねた
親父はベラベラとスリランカ語で何かを言っているが完全に何を言ってるのか分からない
俺
「オーケー、貴方の娘、帰って来たら、娘から、話、聞くよ」
と何とか伝えた
結局、俺たちは気持ちの悪い家族からホエールウォッチングのチケットを買うのが嫌で違う旅行会社で予約した
娘の説明では他所で予約すると9000ルピーの所を宿で予約すると7000ルピーになるって事だったが他所でも7000ルピーだった・・・
ホエールウォッチングを終えた俺たちが宿に帰ると俺は殆ど何も言われなかったのだがアグは「何故我々の宿から予約しなかったんだ!?」、「料金はいくらだった?」としつこく聞かれたらしい・・・
宿泊中に他の旅行者も何組か見かけたが皆が笑ってなく、俺たちと同じ表情をしていた
そして何とか全ての宿泊を終えヒッカドゥワの綺麗なビーチに戻って来た俺たちだったが、今日の昼過ぎにアグのパソコンに一通のメールが届いた・・・
ブッキングドットコムからだった
「メリッサホリデイバンガローからメッセージが届きました。内容は貴方が予約したにも関わらずNo show(ドタキャン)したと言う物でしたが実際はいかがでしたでしょうか?」
どう言うことか?
そう、あの宿の父親はブッキングドットコムに手数料を支払うのが嫌な為にブッキングドットコムに「俺たちは来なかった」と嘘の報告をしていたのだ
コレからもブッキングドットコムで宿を予約する事もあるであろう俺たちだ
ドタキャンした記録なんて残ったらコレからのapp使用にどんな影響があるか判らない
流石のアグもブチギレてかなり長い説明文とクレームのメールを逆にブッキングドットコムに送り返していた
宿の最悪なマネージメントもしかりだが俺的にはあの雰囲気が恐ろしかった・・・
そんな宿の情報を載せておく
その目で、その体と第六感であの宿を感じたい人は自分の責任でかの地を訪れて欲しい
名前
「Mirissa Holiday Bangalow」
一泊900円程度
エアコン無し、ファン有り
無料wi-fiあり(付いたり消えたり・・・)
共同バスルーム(家族とも共同・・・かなり汚い)
朝食あり(俺たちは食べなかった)
宿からホエールウォッチングなどのツアーを予約できる
(俺たちは関わらなかった・・・)






