1992年/冬、オレが二十歳で金髪坊主の頃の話。友達からコンパに誘われた

当時一人だったオレはコンパに参加することに。
コンパが行われるのは約一週間後の午後15時から
当日、昼前に起きたオレは何となく寿司が食べたくなり、「スシロー」に行く事にした。

適当に10数皿とウドンを食べ、帰宅。
コンパの時間までゲーム🎮をして過ごす事にした
ゲームを始めて30分もした頃、お腹から熱烈ラブコールが。💩
(オレは便通がかなり良い方で毎日出るし、調子が良い時は一日に5回以上出る)
その日も「お、来た来た。いつも通りに「ブリッ!」っといったるかぁ〜」ってな感じで漫画本を持ってトイレに入り、便座に座った。
便座に腰掛けて漫画本(多分ろくでなしブルースだったと思う)を開いてキバリ始めた
「ん、おろ?なんかいつも様子が違うなぁ。イテテテ😖」
いつもならキバると同時にウンウン💩がヒョッコリと顔を出すのにその日は痛みが先にやってきて肝心のウンウン💩が顔を出さない。
キバルと痛みを感じ、キバルのを辞めると痛いのも収まる。
そんな軽い攻防戦を15分程やってただろうか。
「ありゃ〜、一向に出んぞい。なんじゃ、こりゃ・・・?」
まぁ一回トイレを出てちょっと間したらもっとデカくて分かりやすいラブコールが来るだろうと思い、一度トイレを出た。
そしてまたゲームを始めた
数分して予想通りデカ目のラブコールが来た
「お、お〜〜〜、こ、こりゃ中々に強烈!イテテ、イテテ。😰」
小走りで便所へ。
ズボン・パンツセットを一気に下ろし、座ると同時にキバリ始める。
(今度は本気だから漫画本は無しだ。)
「せ〜のっ、フン!😡」
キバッた瞬間に猛烈な痛みが腹を襲った。
🤯
「ヒィ〜〜、イ,イタイ〜〜😫」
今までにこんな痛さを腹から感じた事は一度しかない。
小学6年生の頃にかかった盲腸以来だ。
(手術が怖かったオレは盲腸を切らずに薬で散らしたからまだ盲腸にかかる可能性があった。)
「ま、まさか、も、盲腸か?」
しかしキバルのを辞めると痛みは落ち着く。
盲腸の時は痛みがおさまる事は一切ない。
「盲腸じゃぁないのか。じゃあ一体全体この痛みはなんなんやろぉ?」

「病院に行こうか?」
一瞬頭によぎったけどコンパにも参加したい。
病院に行くなら友人に断りの連絡を入れなければいけない。
病院に行って受付を済まし、待合室で自分の順番を待っている時にもよおしてブリブリ!スッキリ〜♩と言う事も考えられる。
そうなればせっかくのコンパも水の泡だ。
結局オレは病院には行かずコンパに行く事に。
「キバらなければ痛くない」って云う事がオレをコンパに駆り立てた。
多少の不安を抱えたままコンパの待ち合わせ場所へ。
現場に着くとオレの友達は揃っていたが女の子達は居なかった。
(彼女らは違う所で待ち合わせして、俺たち男とはカラオケで全員合流する流れだった)
その日のコンパは男4人と女4人だった
オレは腹痛の事を誰にも話さずに参加した・・・
カラオケに行くと女性達が待っていて、自己紹介を適当にしながら各々カラオケ店に入っていく。
女性陣も結構レベルが高くて、オレも気合を入れたい所!
だったのだがカラオケ店の螺旋階段を一歩一歩踏みしめるたびに腹部の違和感が大きくなっていく。
受付でオレは友達に言った。
「ごめーん、オレちょっとトイレ行ってから部屋行くわ〜。長い方やから気にせんと歌っといて〜。」
友人達は女の子達と喋るのに夢中でオレの声は誰にも届いていないようだった・・・
トイレに入るとやかましい音楽が鳴り響いている。
そんなことは気にせずイソイソ・モジモジとオレは(大)の方へ入った。
一目散にズボン・パンツセットを降ろし、便座に腰掛ける。
痛みはかなり酷くなっていて、すでに”キバらずも痛い状態”になっていた。
「う〜ん、これは本当にマズイかもしれない。」
痛みは酷くなる。
キバらなくても勝手に出そうなくらいウンコっ気はある。
なのに出そうとすると激痛が走る。
冷や汗が頬を伝い出し、膝もガクガクと震えだした。
体を”くの字”にへし曲げていないと居られない痛み・・・
もはや自分には地面を睨みつける事しか出来ない。
「何をやってるんだ!お、オレはコンパに来てるんだぞ〜〜〜!」
部屋ではまだ話した事もない美女達が
「あの人大丈夫?トイレから帰ってこないけど・・・」
とかって言ってるはず
「ヒィ〜〜〜、恥ずい〜〜。」
コンパに来て合流後、トイレにしか行かない男。
しかも更にオレは・・・・
ボソッと恐ろしい”独り言”を言った
「オレは救急車を呼ぶつもりなのか・・・?」
「駄目だ〜〜!それだけは出来ん!何としてもここは激痛に耐え、ウンウンを絞り出しトイレから脱出!そして部屋まで辿り着き、1曲は歌わねば!
1曲歌う事が出来ればこの空白の30分が皆の記憶から消え去る。
それさえ出来れば電話がかかってきたフリでもして「急用だ」と皆に告げ、自然な流れでカラオケを出て病院までタクシーで行く事ができる。
しかし、恐らく部屋に戻った時は皆が曲を予約していて運が良くても7曲後にようやくオレの出番。
7曲・・・・
一曲の時間が平均して4分だと考えてもオレの出番が回ってくるのは21分後。
カラオケが始まって既に約40分経っている
40分後といえそれぞれが得意としていて癖のない一曲目を歌い回し終えたくらいか。
「今日はコンパだ!」と調子に乗って長めの曲を”聞かせ”に入ってる奴がいなければオレが歌い終わるまでを考えても約30分後にはカラオケを出る事が出来る。
オレは覚悟を決めた・・・
「よし、どんだけ強烈な痛みが襲ってきてもその痛みに耐え、ウンウンを絞り出す!そして一時をしのぐ余裕を腹に与え、30分後にカラオケを出て病院へ行こう!」
プランは固まった!後はキバるだけ
オレは全身に力を入れてキバった!
ふん💢!
「グワァ〜〜〜〜〜〜!」
・・・・・・
い、い、痛すぎる・・・
痛みがエグすぎて思わず天井を睨みつける!
冷や汗と涙が溢れ出し、天井のライトが滲んだ。
トイレ内は相変わらずやかまし過ぎるくらいの音量で浜崎あゆみが鳴り響いている。
あゆ
「この街のどこかで〜♩へ、へぇ〜♫」
どうしようもなくて途方に暮れている所にオレをコンパに誘ってくれた友達である「カツ」が来た。
トントン・・(ドアのノックする音)
カツ
「ケンちゃ〜ん、大丈夫?腹、痛いん?」
オレ
「あ、カツ?そやねん。オレちょっとヤバイかも・・・」
カツ
「マジで?」
オレ
「もしかしたら盲腸かも知れん。」
カツ
「嘘やん、ヤバいやん・・・」
(ちょっとダルそう)
オレ
「・・・オレ、救急車呼ぶわ。」
カツ
「え!?・・・そこまでなん?」
オレ
「うん・・・。」
カツ
「・・・・」
暫く沈黙が続いた後、状況を理解したカツが言った。
カツ
「おっしゃ、ほなオレが救急車を呼ぶわ。皆んなにはケンちゃん急用が出来たみたいで帰るみたいって感じで伝えるからケンちゃんはカラオケ出る用意しといて。歩けるか?」
オレ
「なんとか歩くわ。フフ、コンパで救急車呼ぶとか恥ずかし過ぎるからな。なんとしてもバレないように自然に出ていかな・・・」
カツ
「じゃあ、一回部屋に戻るから用意出来たらロビーで待っといて。急ぐで!」
オレ
「オケ!宜しく」
そんな感じでオレは力を振り絞ってトイレを出た。
痛さはかなりのもの。
冷や汗が止まらない。
店員も心配そうにしている・・・
暫くするとカツは戻ってきた。
オレの顔を見た瞬間にカツの顔が引きつった。
カツ
「ケンちゃん・・・・?今冬やで。何、その汗・・・?」
オレの尋常ならざる冷や汗にカツは一瞬たじろいだ
だが直ぐに冷静さを取り戻し、事態の深刻性を改めて理解したカツは更にキビキビと動くようになった。
カラオケ店の前にオレを座らせ、オレが恥ずかしくないように人に見えないようにオレを隠してくれたり、自動販売機で冷たい水と暖ったかいお茶、両方を買いオレに持たせたりした。
少しして救急車が来た
「よ、よし。や、やっと、やっと病院へ行ける。は、腹がちぎれそうなくらい痛い〜〜🤮」
救急車に乗り込もうとした瞬間、後ろから声がした。
「うわ!何じゃこれ?救急車来とるやん!もしかして、ケンちゃんが呼んだん?」
マジか!?
最悪やぁ。
出てこんでもえ〜のに他の友達も出てきたぁ!?
無視する訳にもいかず、
オレは恐る恐る振り返った・・・・
「ヒィ〜〜〜!ツレどころか女の子も全員出てきとるやん!」
は、は、恥ずぃ〜〜〜〜!!!
女の子1
「え〜、何コレ?めっちゃヤバイんちゃうん?」
女の子2
「プ!あのトイレの人、坊主やったんやぁ・・・」
女の3
「大丈夫ですかぁ〜?」
オレ
「ん?うん。大丈夫、大丈夫。ちょっと腹の調子が悪いだけやねん!今日はなんかゴメンねぇ〜〜、ハハハ」
精一杯平然を装うオレ。しかし、赤灯を回した救急車が停まり、道ゆく人は「何事だ?」と足を止め、人だかりが出来ている
オレが余りにも平然を装っているため、遠目から見れば一体誰が患者なのか分からない。
だが、真剣な顔をした救急隊員達は明らかに若者達の群れの誰かを心配そうに見つめている。
目を凝らしてよく見ると、真冬だというのに一人だけ有りえない量の汗を流している男が居る。
皆、思っただろう
「この子か・・・。」と
変に平気なフリを始めたオレも、もう引くに引けない。
オレは最後まで意味のない”平気なフリ”を続け、まるでタクシーにでも乗るような足取りで軽快に救急車に飛び乗った。
最後に振り返り、皆に向けて爽やかに言った。
「よし!じゃ、オレちょっと行ってくるね、また!」
そう言って手を振った。
気の毒に思ったのか、皆もオレの演技に付き合ってくれ、無理矢理に笑顔だ。
あたかも何事もなかったのように返してくれた。
「う、うん、気をつけてね。バーイ」
救急車のドアが閉まった。
いつの間にか付き添いでカツが一緒に乗ってくれている。
もう痛くないフリをしなくても良いと思ったオレは本気の声で叫びまくった。
「ぎゃ〜〜〜〜、痛い〜〜〜〜。なんとかしてくれ〜〜〜。」
救急隊員
「落ち着いてください。原因が分からない以上何でもかんでも薬を使えないんです。頑張って経緯を話してください」
そんな事を言われても痛すぎて無理!
オレは喚きながらスシローに言った事や、キバると痛い事を無茶苦茶な順番で説明していたと思う。
痛すぎて意識が遠のいていく・・・
かすかに遠くにカツの声が聞こえる。
「コラ、われ!なんとかしたらんかい!バリ糞痛がっとるやないかい!われ、それでも救急隊員か!お、コラ!」
あ〜、カツが俺の為に怒ってくれてる。
後はもうカツに任せるしかない。
カツ、オレのために有難う
カツ
「ホンマ、ええ加減にせえよワレ!ぷ!ククク!ゴホン!はよ病院連れていかんかい!ぷ!ククククク!」
「あれ?カツ怒ってるのに笑ってる?アカン、もう起きてられん・・・」
オレはそのまま意識を失った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
目を覚ますと病室で点滴を打たれていた。
綺麗な夕焼けがオレンジ色に照らす病室にオカンがちょこんと座っていた。
オカン
「目〜覚ましたんかえ・・・?急性大腸炎やて。一週間は何も食べられへんらしいよ。辛抱しい。後、カツ君にお礼の電話入れときよ。さっき私が来るまで付き添ってくれてたんやから・・・」
オレは痛み止めが打たれているらしく、さっきまでの激痛が嘘のように痛みを感じなかった。
そう思った瞬間にかつて感じた事のない程のラブコールが襲ってきた
「アカン!出る!」
トイレに駆け込んだオレはキバったらまた激痛が走るのではないか?という不安を感じながらも思いっきりキバった!
「ズッポポポポポポポポポ〜〜〜ン!」
全てが出た。
とんでもない量が出た。
全部が硬く、何故か細長く、同じ形をしていた。
便座の中を見ると水が溜まっている穴の所に全ての細長いウンウン💩が突き刺さり、スナックとかで出てくるスティック野菜みたいになっていた。
オレは優しく微笑んだ。
「ふふ、全て終わったな・・・」
トイレから出たオレはカツに電話をかけた。
オレ
「あ、カツ?今日はホンマに有難う。」
カツ
「お〜、もう大丈夫なん?」
オレ
「おう、一週間くらい入院やって。退院したら飯でも奢るわ!」
カツ
「そんなん気にせんでえーよ。早いこと、良うなってや!」
オレ
「おうよ。あ!カツさ〜、救急車の中で俺の為にアツくなってくれとったやろ!?ありがとな。でもな、ちょっと気になってんけどカツ、なんか笑ってなかった?それとも痛すぎてオレが頭おかしなっとったんかなぁ?」
カツ
「いや、ちゃうねん。ホンマにゴメン。ケンちゃん多分痛すぎて痙攣しだしてんけどな、なんか段々おかしなポーズをとりながら痙攣し出してん!両手の人差し指をピーン!って伸ばしながら両サイドを指差して体は気をつけ!みたいになっててな。隊員も笑いを堪えてたから、それがまた面白くて。ホンマゴメン!」

オレ
「・・・・・・。」
ってな感じで最後はプロであるはずの救急隊員にまで笑われるという恥をかきまくった珍事件だった。
先生が言うには
「確約はできませんがこの時期のタコは当たりやすいんですよ。スシローは若いアルバイトが鮮魚を扱ってますからね。これからは十分に気をつけてください。」
昔と違って今は回転寿しのクオリティーは上がっているから大丈夫だと思うけど、オレはその事件以降、今でも「回転すし」ではタコを食べない・・・・
終わり。